許可と届出(労働者派遣事業に関連して)

2013年11月9日

今週、労働者派遣事業に関して、「届出制」で開業できる「特定派遣事業」を廃止し、すべての派遣会社を「許可制」の「一般派遣事業」に移行させる方針を固めたというニュース記事がありました。

 

特定派遣事業は常用雇用者だけを派遣者の対象として行うもので、届出をして受理されれば業務を行えます。IT企業や製造業などでの技術者の「常用雇用」が主でした。

それに対して一般派遣事業は、臨時や日雇いなどの短期の派遣者を対象として行うもので、許可を受けなければ行うことができません。特定派遣事業に比べて、資金や事務所や保険の加入など要件が厳しく、事務所の現地検査もあり、許可取得のハードルは高いです。

 

記事には、特定派遣事業は、届出だけで開業できるので、事業者が乱立し、法律順守に関心の薄い業者を生む温床になる可能性もあり、全て許可制の一般派遣事業にすることで、業界全体の信用向上につながることが想定できるとありました。

 

このように何か事業を行おうとするときに行政の許可や届出が必要な場合があります。その「許可」と「届出」はどう違うのでしょうか。

 

「許可」は、一般に禁止されている行為について、監督官庁が特定の者に対して、または特定の事業に関して禁止を解除することです。それに対して「届出」は、放任状態では違法行為が行われる可能性があるため、ある行為を行うに当たって監督官庁に事前通知することを義務づけていることです。

 

平たく言えば、「許可」を取得したということは、監督官庁から、その行為に対して、やってもいいよとお墨付きをもらったということになりますが、「届出」は、その行為を行うなら監督官庁に届け出なければならないが、届け出たからと言って、その行為をやってもいいよとは言っていないということです。

 

労働者派遣事業に「許可」と「届出」があるように、風俗営業許可にも「許可」と「届出」があります。

クラブやスナックなどの社交飲食店の開業には「風俗営業許可」が必要です。この許可の取得には、人的要件、場所的要件、構造的要件など厳しく規制されています。ただ許可を取得すれば、公安委員会から営業に関してお墨付きをもらったことになります。

それに対して、無店舗型性風俗特殊営業(デリバリーヘルス)は「性風俗関連特殊営業の届出」になります。届出書類を提出して10日後から営業していいようになっていますが、その営業に関して公安委員会がお墨付きを与えたわけではありません。営業するなら届出が必要で、公安委員会がそれを把握して監視するというようになります。

 

許可を取得するのは難しいし、届出は簡単だからと安易に考えるのは間違いです。

 「許可」の取得が必要なものには他にも「建設業許可」「産業廃棄物処理業許可」などがあります。いずれも許可の取得には厳しい要件があります。

許可取得をサポートするのが我々行政書士です。許可取得に関してはお気軽にご相談下さい。

 

 

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